1枚しか売れなかった


あのゴッホちゃんの生前に売れた絵は、なんとたった1枚だそうだ。
1,600点も描いて1枚。

良き理解者の弟、テオも半年後に亡くなり、その妻が書簡集を出し、
それから売れ出した。
ゴッホ家に残る一枚の絵、「アーモンドの花」が美しい。
何世代にも渡り家の子ども部屋にかけてある、
それがゴッホ家の自然な状況だったそうだ。
しかし、その歴史には物語があった。
つまり、ゴッホの絵が売れない歴史の中で、いつかは見てくれる人がいる、
と信じて描いたゴッホの意識と、それを支えた人達の事実。


それを一枚の、青緑の背景と白い小さなアーモンドの花の絵が物語る。
4代目のゴッホ美術館の先祖は語る、「子ども部屋で何気なく見ていた絵だが、
今思えば、特別な意味を持っている。」


有名になったからじゃない、一つの表現作品には多分、大なり小なりの
その成熟度に応じて、人間模様が写し込まれている。
ゴッホの場合、その絵には、基調に悲哀と弟の子どもへの慈しみ、
そして、弟夫婦への限りない思いが一筆ずつ塗り込まれていた
(ダローな)。


それがもしかしたら、自分の表現にだってと思ったりもして、
しかし、ゴッホのような濃密なトライアンドエラーは、
1,600回も繰り返していないしなぁ、と思った。
そんなエネルギーは、どこから出てくるんだろう?